イケメンは、何をしても様になる。
とはよく言ったものだ。



目の前のこの男、五条悟も例外ではない。


先程から、まわりの女子たちの視線が半端ない。
彼が食事をしているだけで、彼女たちの目がハートになっている。






そう。
例えその男が食べているものが、

”期間限定!スペシャルトリプルチョコレートパンケーキ”

であっても。




















「はぁ・・・美味しいね〜。なまえも一口食べる?ほら、あーん」


私の目の前に座っている、無駄に容姿が整った男が、4段に重ねられ、胸やけがしそうなパンケーキが刺さったフォークをこちらへ差し出した。


「いらないわよ。嫌がらせ?アンタ分かっててやってるでしょ、私が甘いもの嫌いだって」


そう。私は甘いもの全般食べらない。なので私が注文したのは、クラブハウスサンドとコーヒーだ。もちろん、コーヒーはブラック。

それにしても何故、私は今、この男と女子で埋め尽くされた巷で有名なパンケーキ店にいるのだろう。

確か今日は久しぶりの完全オフだったはずだ。買い物をして、お気に入りのコーヒーショップへ行くはずだった。
それなのに、マンションを出るとこの男に、へらへらした表情で丁寧に迎らえれ、そのままここに拉致られた。

逃亡は試みた。しかし敵うはずもない。
相手は最強の男、五条悟だ。








「なんでそんなに嫌いなのさ、美味しいのに」
「子供のころ、食べすぎて吐いたのよ」
「ぷっ。なにそれ子供じゃん」
「だから子供のころって言ったでしょ」

悟は、もったいない、と笑いながら、私にはお構いも無くパンケーキを食べ進め、あっという間に平らげた。









店を出ても、その美味しさの余韻は続いているらしい。
にやにやしていて若干気持ち悪い。


「はーまだ甘さが残ってる」
「そりゃよかったね」
「やっぱりなまえも一口でも食べればよかったのにー」
「何度言われても食べな…んっ!?」


悟の方を振り向いた瞬間、唇ごと食べられた。
そういう表現が正しいくらい、深いキスだ。

いや、待て。ここは大通りだぞ。



「ちょ、アンタこんなとこで何して…!」

一発殴ってやろうかと思ったが、それはあっさり阻止された。
そして、へらりと言ってのけた。


「美味しくない?パンケーキ」
「は?」

何を言ってんだ、この男は。
私のことを気にすることもなく、この男は笑っている。

そうだ、こいつはこういう男だ。

こんなやつに捕まったのが、私の運の尽きだ。
そんなこと分かっていたはずなのに、と思うとなんだか笑いが込み上げてきた。






















「…アンタが飲んでた、メロンクリームソーダの味しかしなかったわよ」

「え、マジで?」